この週末
LWさんと久しぶりに映画館に行って
『リバティーン』を観てきました。
33歳で死んだ17世紀実在のイギリスの放蕩詩人ロチェスター卿をジョニー・デップが演じます。
美貌や才能のある人を愛するつらさは今も昔も変わりません。
美術(ベン・ヴァン・オズ)衣装(ディーン・ヴァン・ストラーレン)ともにピーター・グリーナウェイの映画で仕事をしてきた人で、この映画の背景を史実をふまえながらも実際以上に魅力的に創り上げることに成功しています。
主人公のロチェスターが劇作家で演劇マニアなので、この時代の舞台や俳優がどんなだったか詳しく描かれていて、そこは一番楽しめました。
ロチェスターと3人の女の人との関係もよく描けてるし、俳優もみんな上手いです。
なのに何かもの足りないのは何故かな。
映画の帰り道LWさんと話してたのですが、このロチェスター可哀相に、いまやりっぱな女優になったリジーに「あのとき君と結婚していればよかった」なんてくだらないこと言って、「あなたにはもう飽きた」って言われてしまうんです。これって程度こそ違ってもよくある話よね、って。
ステージの違う人を好きになったとき、もしくは相手が思わぬ成長を遂げて自分を越したときの結末のつらさというか。
問題はロチェスターが才能にあぐらをかいて、真剣に自分を磨く努力をするような人じゃなかったところにあるんでしょうね。
リジーは恋する気持ちの儚さをしっているからよけいに、自分を裏切ることのない舞台に人生を懸けたのかもしれません。その結果、彼女は彼の気持ちが離れるのではないかという不安につぶされることなく、最後まで優位に立つことになったのです。でも、それが幸せかどうか?難しい・・・
それにしても才能のある人は強い、才能が欲しい(笑)というのがLWさんの結論でした。
もともとロチェスターは美人で金持ちの奥さんを(ダイアナ妃の祖先らしい)彼女が18歳の時、誘拐してまで結婚したのですが、すでに飽きてしまっていました。でも結局リジーにも娼婦にも去られ、最後は奥さんだけが自分を好きで傍にいてくれるのですけど、それがまたふたりともなぜか痛々しいのです。
ジョニー・デップ、頑張ってたけど、性格の複雑さが足りなかった。このロチェスター役は、危険だと分っていても女の人が惹かれてしまうような悪魔のような冷たさといやらしさが必要でした。
劇場ではロチェスターを演じていたジョン・マルコヴィッチ(映画では王様役)だと感じがでたかも。