7月12日のボウイ・ネット・ニュースで、『バール』のiTMSが9月25日に発売されることがアナウンスされました。
01 Baal's Hymn (4.02)
02 Remembering Marie A. (2.04)
03 Ballad Of The Adventurers (1.54)
04 The Drowned Girl (2.24)
05 Dirty Song (0.37)
このうち、01と04は2003年に出たSound + Vision ボックス・セットに収録されましたが、他はCD化されていません。
上は1982年に出されたバールEP(LPサイズで5曲入り)です。
ジャケットは見開き式で、裏にはフランス・マゼレル(Frans Masereel 1889-1972)の木版画、内ジャケ左にBBCで放映された『バール』の写真とあらすじ、右には解説が英語とドイツ語の凝った字体で書かれていて雰囲気があります。
この5曲は'81年9月にベルリンのハンザ・スタジオでトニー・ヴィスコンティとMuldowney(ダーティー・ソングも作曲)を呼んで作られ、8月に収録されたBBCテレビの『バール』が'82年3月2日に放送されるのに合わせて、5曲入りEP『David Bowie in Bertolt Brecht's Baal』として2月26日に発売されました。
『バール』はベルトルト・ブレヒト(1898-1956)20歳の時に書かれた戯曲で、詩の才能はあるが破滅型の主人公バールが、自分の信奉者や友人の恋人を奪っては捨て、それでも一緒にいてくれたエーカルト(男)に好きな女がいたからという理由で刺し殺し、森に逃げるが木樵たちに見捨てられ、死んでいくというメチャクチャな話しです。(未見なのでBBC版がこうかは不明)
エレファント・マンの綺麗なボウイと違って、このバール、歯抜けと髭面が災いしてか(今見ると充分美しいかも?)あまり人気がなさそうですが、ボウイは1920年頃のベルリンの演劇に対して興味や野心もあったでしょうから、その彼がバールをどのように演じたのか私としては非常に興味深いです。
さて、04の「The Drowned Girl 」は、バールに捨てられ水死した娘ヨハンナの歌で、この曲だけクルト・ヴァイル作曲。不穏で複雑なメロディーラインに感情をこめたボウイの歌は聴きごたえがあります。
この曲にはデヴィッド・マレットが撮った、ボウイがバック・ミュージシャンに囲まれ、椅子に座って歌うモノクロのヴィデオ・クリップがあるそうですが、今回のiTMS発売と同時にこちらもリリースされそうなので、ちょっと楽しみです。
『バールEP』は曲数が少なくCD化は難しいのかもしれませんが、欲を言えば、この見開きジャケットの紙ジャケで、CDとBBCの劇のDVD(日本語字幕つき)の2枚組で発売してくれないでしょうか。