2月20日に初CD化されたあがた森魚さんの紙ジャケ『
乗物図鑑』のオリジナルは、1980年4月にロック・マガジン編集長、阿木譲さん主催のVanity Recordsから阿木さんプロデュース300枚限定でリリースされたものです。
(←は1979年11月24,25日のレコーディング中の阿木さん。当時こんな格好いい人はいなかった。)
なにしろ幻の・・ですから今回初めて『乗物図鑑』を聴きましたが、2日間で録音、ミックスという荒削りなものでありながら、力強く、今聞いても何これ?といういつまでもすり減ることのない耳障りの悪さ。”エアプレイン”という曲の冒頭、稲垣足穂の飛行機音の口真似は伝説ですよね。”連続香水瓶”の「レンゾク レンゾク・・・」というフレーズにも何なんだ! いやぁアヴァンギャルドです。
表紙がバウハウスのロックマガジン特別号は乗物図鑑レコーディングとほぼ同時期、1980年1月1日に出されたもので、1945年~1958年のドイツにおける現代音楽の運動を記録した『ムジカ・ヴィヴァ』という本の翻訳が主。
この頃まだ阿木さんは、ロックに時代もジャンルも超えて何でも飲み込んで自分のものにする可能性を感じていらっしゃったのがよくわかる力のこもった特集になっています。
『ムジカ・ヴィヴァ』と『乗物図鑑』のアート・ディレクションもスピード感が素晴らしい。阿木さんはロック・マガジンのADについて、ブロドヴィッチの名前を出していらっしゃいましたがこれもその雰囲気がありますね。
いつの時代も阿木さんの夢中になってらっしゃる音楽は世界の最先端と私は思っていますが、しあわせなことに大阪には阿木さんのお店『
nu things』があって、御自分がDJをされることもあるんですよ。
『nu things』のイヴェントとしては異色ですが、この11日(金)には乗物図鑑再発にあわせて、あがた森魚「珊瑚のカケラ ライブツアー」が行われるようです。pm19:30- 3000yen
当時のレコーディングのお話なども聞けるのでしょうか。
実は昨日、突然お店に阿木さんがいらっしゃっいました。素敵すぎて今も思い出すとへなへなとなるぐらい・・・などと言いながらもあつかましく長時間お話させていただいたのですが、近寄りがたいイメージとはちがい本当に偉ぶらないストレートな方でした。
今、nu thingsで阿木さんのブログ『
Oblique Strategies』が読めますが、あいかわらずなんて過激かつ趣味がいいんでしょう。